「王宮の孤児たち」web拍手お返事

いつも拙作をお読みくださり、ありがとうございます。

「王宮の孤児たち」ただいま「第62話 森の中」が最新です。ぷらいべったーでお読みいただけます。

前回公開した第61話 旅立ちを1ページ目としたファイル(7)を新設しました。前回は60話の後編である61話だけ別ファイルになるのが不便だったので(6)の末尾に一緒にUPしたのですが、続きのエピソードを思ったより早く公開できましたので正しくファイル分けし直しました。

62話から、主人公をスィグルに変え、ここまで長く書いてきたエル・ギリスが視点キャラではなくなり、スィグルの目で見た客観的なエル・ギリスが登場してきます。視点キャラが変わると、同じ出来事がちょっと違って見えるな〜というのが拙作「カルテット」の楽しみのひとつと思いますので、この視点交代をお楽しみいただけたら嬉しいです。

視点交代して気に入っていただけるかな? 久しぶりに書くスィグルだけど、彼らしく書けているかな〜とビビりつつ書いていますので、作者がまあまあ頑張れているようでしたら拍手&❤️をいただけると、良い景気づけになります。すみませんが……お手間でなければ是非、よろしくお願いします。

ご報告し忘れていましたが、そういえば拙作は改題したのです。
「カルテット」→「月と星のカルテット」にシリーズタイトルを変えました。
制作本拠地のカクヨムさんでも、その改題後のシリーズタイトルに変えてあります。

ですから「王宮の孤児たち」も「月と星のカルテットシリーズ第N作 王宮の孤児たち」なんですが……長いな。第何作なのかもよくわかりません。ナンバリングはとりあえず諦めます。本編とか学院編とか仮に呼んでいる作品も、実はもう25年も無題です。

学院編はおそらく「トルレッキオの竜の水」とかになると思うんですが。なーんか内容とマッチしてないタイトルやな〜と自分のタイトルセンスの皆無さに震える気分で未定です。でも25周年記念にタイトルつけますかね。さすがにもうタイトルぐらいないと困るだろうという状況です。

さて記事の続きは、「王宮の孤児たち」にいただいた拍手コメントへのお返事です。3月10日に、第57話、第58話にいただいたものです。コメントをくださる皆様、いつもありがとうございます。

「第57話 工人」へのコメント

03/10 18:28 057まで読みました。部屋の準備がやたら早かったのには、そんな理由があったのですね。それを誰も本人に教えず、帰ってきてからギリスが動くまで、誰も部屋の準備をはじめなかったのは、単なる連絡不行き届きではなく、わざとだったのでしょうね。本人は子供部屋で満足していたようなので、ギリスが黙っていたら、いつまでも子供部屋だったのでしょうか。
亀さんは、面白いおじさんですね。日本語で言えば亀吉さんとか亀五郎さんとかで、あだなが亀さんという感じでしょうか。
おもちゃを羨ましがるギリスが、ちょっと切なかったです。自分がなんでちょっと羨ましい気がしてしまったのか、本人はわかってないのですよね。というか、ちょっとうらやましいような気がしたことに、気付いてすらいないのかも。そんなところが、よりいっそう、せつないです。

コメントありがとうございます。

第57話 工人」にいただいたご感想でした。レイラス殿下の新しい居室に現れた工人、つまり工事のおじさん、トードリーズさんです。作中では「亀《トード》」という渾名で呼ばれているんですが、英語ではトードはヒキガエルのことなので、亀にするかカエルにするか、ずっと悩んで時間切れになって亀さんのまま公開しました。でも今もモヤモヤしています。

自分の中では「平伏する人」というイメージなのかなと思っているのですが。亀とカエルとどっちが良かったんでしょうか。キャラ的にのんびりしてるし亀さんかな〜と思ったのですけど、カエルでもよかったな……。どっちでもいいですね。

そのトードリーズさんが、双子の殿下のお部屋を作った人でした。この部族では建築土木は芸術という考え方なので、お部屋はトードリーズさんの作品です。デザインから設計、制作にあたるまで全部同じ人が責任をもって携わるお仕事スタイルです。身分こそ低いのですが、王宮では工人たちは職能を認められて、王宮内に住んでいます。王族とは普通は出会わないんですけどね。

トードリーズさんは殿下ふたりのお部屋は作ったものの、肝心の住人である殿下が残念な経過のため入居しなかったので、せっかく作った部屋に誰にも住んでもらえませんでした。

スィグルがトルレッキオからの王都帰還後すぐに成年王族用の居室に入らなかったのは、誰もその手配をしてくれなかったせいです。ただ引っ越せばいいものじゃなく、成人式のような式典が必要なのですが、誰もやってくれませんでした。

とても簡易的ではあったものの、晩餐の席で英雄ジェレフが鍵を持ってきてお祝いしてくれたので、晴れてお引っ越しができたというような次第です。

ギリス、それ絶対知らんかったやろな、という気がします。自分がそれを知らなかったことにさえ気づいてないっぽい空気で、あージェレフが工事の手配してくれて助かったわーぐらいにしか思ってないですよね。ここで作者から「エル・ジェレフに頼めて正解だったな」という感じをお伝えするしかありません。

コメントに書いていただいていたように、ギリスはトードリーズが示していた「風車のおもちゃも作れます」という話に興味がありそうでした。殿下の子供部屋の銀の船のおもちゃも、たぶんちょっと欲しかったんですよね。本人も意味もわからずショックを受けてました。

こういう人が大人になってからガンプラ大人買いとかするんですよね。

ギリスは自分の失われた子供時代を取り戻すことができるんでしょうか。このままだとちょっと可哀想なので、子供には戻れないにせよ、何かで取り戻してもらえればと思います。

「第58話 花の寝床」へのコメント

03/10 19:06 058まで読みました。「ギリスの尽力によって獲得した居室」と言いますが、(ギリスは丸投げしただけだよなあ……)と、ちょっと思いました(笑) が、もちろん、そうやって人に作業を割り振る采配も、仕事を割り振られてくれる人を集めることも、尽力のうちですね。
絹布の件、ずっともやもやっと心にひっかかっていたんですが、リューズは、即位しなかった王子たちが処分されるだろうことを、受け入れているのでしょうか。自分のときは相手がアレだったので、まあ良かった(?)としても、リューズは子煩悩な父親だと何度も言われていますし、実際、王子たちを可愛がってきているのですよね。スィグルが捕らえられれば、貴重な魔法戦士たちの命をかけて取り戻すし。そうしてまで取り戻した息子が、別の息子が即位したからといって殺される、あるいはスィグルが即位して他の息子たちが殺されるという考えに、耐えていられるものでしょうか。それが現実の過去のどこかの国の風習だったら、かえって、その時代のその国の人は今の我々とは感覚が違ったのだろうと思っていられますが、物語の中で、スィグルに対する父親ぶりを見ていると、この男が、こうして可愛がっている息子たちの一人しか生き残らないのだと知りながら息子たちと接して正気でいられるとは、思えないです。私だったら正気でいられないし、どうしてもそうなるなら、情が移らないように、息子たちをなるべく目に入れず、なるべく関わらなようにすごして、可愛がったりしないと思います。

コメントありがとうございます。「第58話 花の寝床」にいただきました。

ギリスは手配を丸投げしただけでした。エル・ジェレフに頼むのすら弟分のサリスファーがやってくれました。ギリス→サリス→ジェレフ→工房→トードリーズです。正しいところに話が辿り着けてよかったです!

たぶん工房のほうでは、レイラス殿下のお部屋の担当はトードリーズなんだというのは情報が共有されていて、発注が来た時点でトードさんに連絡が行くようになっていたと思います。だから偶然ではなく、ただ発注しさえすればトードリーズに話が回ったのですが、ギリスの立ち位置から出来事を眺めた時、魔法のように担当者が登場したという感じでした。

社会って面白いな〜というお話を書いたつもりです。

ジェレフはたぶん、工房に伝えれば、その先は工人たちが勝手にやるだろうって知っていたと思います。でも、サリスファー君が直に工房に行っても「お前、誰?」っていう扱いになるかと思うので(まだ武功がない英雄なので)、そこはやはり当代の奇跡エル・ジェレフ先輩が直々に御用命というコネが重要でした。世知辛いです……。

でもギリスもジェレフに頼めば何とかなるって知っていたみたいなので、自分が持っている人脈をちゃんと適切に使えて、えらかったと思います! 着任初日、よくがんばりましたね。

そして族長位継承システムについてです。

この物語の、部族ごとの族長位継承の決まりは、私が子供のころに設定したもので、黒エルフ族のものは、過去のどこぞの帝国に実際にあったものを参考にしていると思います。事実は小説よりも奇なりってやつでしょうか。怖いです。

子煩悩な父であるリューズ・スィノニムがその継承システムに納得できているかというと、たぶん全然納得はできていなくて、自分の中で消化もしていないんですが、物語的には「しょうがない」ものという扱いです。それが大前提になっているお話なので。

そのどうしようもない現実に父上がどのように対処しているかというと、子供は可愛がりたいので可愛がりつつ、「自分たちは王族なのだから、玉座につく者は名君として務め、ふさわしくない者はその兄弟に席をゆずって死ぬことで臣民に尽くすべき」というふうに息子たちに要求しています。これは彼の一族の男子が先祖代々ずっと果たしてきた義務で、臣民が王家に要求することでもあるので、今さら自分ひとりの気分で「やめます」って言えないのです。

マジかよ、やめろよ!? と現代人の感覚ではすごく思うんですけどね。

その状況で王族の殿下や、リューズのメンタルがまともかというと、実は全然まともじゃなく、ものすごいストレスは感じているはずなので、そこは物語に吸収して描いていくところかと思っています。それを書く物語なのでしょうね。

リューズが息子たちを無視しないのは、自分が子供時代に無視されて辛かったからだと思います。リューズの父親は作中で「暗君デール」として話に出てくる人物ですが、親子の交流みたいなのは全くなかったようです。それは暗君だからではなく、この王家では一家団欒とか、お父さんが親しく息子と話すというような現代生活で当たり前にあるようなことは、普通はないのだという想定です。

息子たちは父親と会って話したい、取り入って自分を気に入らせ、継承指名させたいと願って玉座の父に隙あれば熱烈アピールしてきますが、でもそこで「お前に継がせる」と一言でも言えば、それを確定させたくて父親を殺しにくるような息子たちなので、廷臣の皆さんは、なるべく親子を会わせないようにして、治世の安定化を図ろうとするかと。リューズのような名君として臣民に愛されている族長の場合はなおさら「あんまり子供と仲良くするんじゃない」と皆に思われるので、パパ寂しいですね……。

普通の一家じゃないのだという観点で執筆しています。

リューズもそれは分かってるはずですが、でも息子が可愛いんですよね。それは人情なので、仕方がないです。特にスィグルとスフィルのような、後見人がもういなくて、その上大きな苦労もさせちゃった子は、可愛いわけです。

いやーでも他にも兄弟がいるしさ? という難しい立場ですね。子育てって本当に悩みが多くて大変です。奥さんも同居で十二人もいるんですしね?

ごく平凡な暮らしのありがたさが身に沁みる設定のタンジール王宮です。

そこでの物語を今後も一緒に見守っていただけると嬉しいです。