「王宮の孤児たち」web拍手お返事

「王宮の孤児たち」ただいま30話が最新となっています。ぷらいべったーでお読みいただけます。アーカイブは少し遅れてカクヨムpixivで公開中です。

ここまでは割と毎日ぐらいのペースで更新できています。皆様が応援してくださるお陰も大きいです。ありがとうございます。

でも13万字を超え、老骨に鞭打っての執筆なので疲れてきましたー(^^;;
しばらくは上手に休み休み書こうと思います。休むの下手くそなので結局だらだら書いていそうですが。内容の質に影響ないようにしたいです。いくら書いても、いいもの書けなきゃ意味がないですもんね。執筆が上手い方は休養のとりかたも上手いと思うので見習っていきたいです。

そんなこと言いながら休むと全然落ち着かないんですよ! ブラック椎堂です。賢くなれない😭

さて、続きは「30話 弟《ジョット》たち」にいただいたご感想へのお返事です。ありがとうございました!

02/02 20:31 小英雄たちをかわいく拝見しつつ、タンジールの元服と肌を日焼けさせるならわしについて、特に興味深く読みました。
この習わしを通じて、「カルテット」本編や「新星の守護者」で語られていた、救出された双子を抱きしめて声をあげて泣くリューズの痛切さをまた深く味わったように思います。


元服祝いの旅で、大人の色の肌になって戻るはずだった者が、おそらくは地下生活のために青白い幼年期の肌のまま/幼年期の肌色に戻ったろうこと。双子に残る様々なむごたらしい痕跡の中でも、これは一際痛ましい印象を与えるものとしてリューズらの目に映ったのではないか……と御作を読み直しました。


(「新星の守護者」を再読して、イェズラムが”俺が夢見たのは、名君の時代だ。戦いもなく、俺たちが用済みになるような。”と語っていたのを、改めてかみしめています。


「王宮の孤児たち」再会~同盟の子供たち でスィグルとギリスが次の新星の世について語る。この時のギリスは、生前のイェズラムがリューズに打ち明けた夢を知らないし、この後も知ることはないのかもしれません。ただ、スィグルの射手として生きてゆくことは、ギリスにとって、その行いそのものがギリスと彼の亡き養父<デン>の内面的な対話となるようだな……と感じました。
「新星の武器庫」の記憶では、ギリスは成熟した印象が強かったのですが(スィグルや弟分寄りの視点のためかもしれません)、こうしてエピソードを拝見していると、彼もまた確かに”王宮の孤児”だったのですね。)

コメントありがとうございます。

30話はギリスが王宮の廊下で魔法戦士の後輩たちと出会う場面でした。ギリスの子供部屋時代の同室の子たちということで、彼らの話によれば、ギリスと同じ派閥に入れたようです。

ギリスが在籍しているのはイェズラムが長をつとめていた派閥で、古くて大きい、攻撃部隊の魔法戦士たちが中心になっているグループです。ジェレフも同じ派閥にいるので、攻撃系でない魔法を使う人もいますが、とにかく前線に出ていって戦う突撃部隊を擁しているところという感じです。

ジェレフも治癒者なのに一緒に前線に突撃してるので、そういう恐れ知らずの人たちが沢山いるんでしょうね。

そこに入ったということは、30話に登場したヒヨコみたいな弟たちも、もし戦時ならギリスみたいに馬に乗って敵陣に突撃するわけです。怖いですね……。

しかし今は停戦中の時期なので、彼らも蝋板を持って王宮の博士のところに勉強を習いにいっています。読み書き算術のような基礎教育は子供時代に終わっているので、元服後の子たちは高等教育にあたる学問を博士から習うという設定です。

この学校はカリキュラムのようなものはなく、先生が修了を宣言してくると卒業ってことになるので、ほどほど習ったら終わりになるもので、行かなくても別にいいんです。魔法戦士は12歳でもう大人なので、たぶん全く勉強しない人もいると思います。魔法や戦闘の訓練は義務だけど、お勉強は趣味なので。

だからギリスの弟たちは勉強熱心な子たちだったということに。ギリスも「甘やかなる七色の日常」という作品で、博士の部屋に通って勉強していました。

学問する義務はないけど、博士の講義は王宮で準王族待遇で暮らせる彼らの特権でもあり、派閥の要職や、将来は長老会に選ばれて権力を握りたいななどというような野心がある子は特権を活用しています。

魔法戦士の身の振り方もいろいろです。

ギリスは将来、派閥で有能な魔法戦士として活躍して、イェズラムの役に立ちたいと願っていたので、文武両道がんばってきました。射手として必要になる知識や教養を身につけたという感じでしょうか。こう見えてギリスはけっこう賢いという設定です。武闘派ですけどね。

その時に王宮で身につけた知識などが「新星の武器庫」の頃に役立っているのではないかと思います。「王宮の孤児たち」では16歳のギリスですが、「新星の武器庫」では19歳で、作中で誕生日がきて20歳になっていました。この年頃の4年てとても長い時間だろうなと思います。

でもまだ16歳では、ギリスも幼いというか、子供っぽいところを残しているように書いています。弟たちに格好つけたり、理想主義的だったり、死んだ養父がひたすら恋しかったりですね。

ご感想でも触れてくださっていたように、ギリスは日々、イェズラムが言っていたことを回想して咀嚼し、亡き長《デン》と対話しつつ生活しているんだと思います。

新星の守護者」もお読みいただき、ありがとうございます! その中で確かにイェズラムは族長リューズに、魔法戦士が用済みになる世になって欲しいって言ってました。

ギリスが聞いたらびっくりしそうですが、イェズラムは自分の生まれつきの義務として魔法戦士の責務を果たしたものの、その生活には疑問もあった人物として設定しています。魔法戦士の誉れを意識する一方で、これでいいのかという疑問も持っていたという感じです。

ギリスはまだ子供というのもあって、自分が置かれている世界を外から見たことがなく、魔法戦士の一生に特に疑問を持っていません。自分は別に英雄譚なんて欲しくないし、と口では言ってるけど、でも自分の英雄譚のことは内心すごく自慢に思っているという少年です。

だからスィグルにもすぐ「俺の英雄譚を聴けよ」って言うんですけど、殿下ちっとも聴いてくれないですよね。一回ぐらい聴いてあげてよって作者は思うんですが、スィグルも魔法戦士が兵器として使われている今までの戦法には疑問を持っています。

お父さんが対守護生物戦闘のために考案した必勝の作戦だったんですけど、新星には新星の戦い方があるんでしょうね。そのあたりをエル・ギリスは新星レイラスと共に頑張っていくといいのではないでしょうか。

そんなことも「王宮の孤児たち」で書いていけたらと思っています。

「王宮の孤児たち」というタイトルについて、誰が王宮の孤児なんだ? というのがありますが、多分、この話に登場する主要なキャラクターのほとんどが王宮の孤児だという物語です。

ギリスもそうだし、スィグルもお父さんはいるものの、ほとんど一人で頑張っているようなものですし、当の父親である族長リューズも元は孤児同然でした。イェズラムも魔法戦士だからそうですし、ジェレフも、エレンディラもそうなので。

頼れる家族がいない人たちが、支え合って生きている社会です。

血縁の代わりに彼らを繋いでいるのが独自の兄弟意識で、兄《デン》だの弟《ジョット》だのというのが延々登場しています。振り仮名がうるさい小説なのですが、読者様にも彼らの文化を見ていただけたらと思います。

それでも親子関係が全くないわけではなく、リューズは息子たちを心の中では大切に思っていますし、イェズラムとギリスの間柄も兄弟というよりは親子に近いものとして、イェズラムの時だけは兄でなく「養父《デン》」と書いています。日本語ではそうですが、結局は誰も彼もが「デン」だという、便利な世界です。

今回も長いお話になってしましました! 最後までお読みくださり、ありがとうございます。

また更新しましたら「王宮の孤児たち」を読んでやってください。またのご来訪をお待ちしております。