「王宮の孤児たち」web拍手お返事

「王宮の孤児たち」29話が最新となっております。最新分はぷらいべったーでご覧ください。アーカイブは少し遅れますが、カクヨムpixivで公開しています。(内容は同じです)

この記事の続きは、「28話 再会」にいただいたweb拍手コメントへのお返事です。

01/31 09:12 「もう戦はない」とギリスに告げるトルレッキオ時代を終えたレイラスと、その言葉をすぐには受け止めきれない、戦のない治世は想像の埒外であるエル・ギリスの会話がとても印象深かったです。そういえば、レイラスの騎乗の腕を評価するギリスの目も、戦時の鼓舞を見越したものであって。
ギリスは他氏族…森エルフとの戦いで守護生物を一撃で撃破できる唯一の魔法戦士という点に自分の価値を置いているけれど、レイラスの語る未来はギリスにとって想像したことのないもので、ギリスのような戦争の英雄がかつてと同じ価値を持たない時代。射手は新星をレイラスと見たけれど、新星がどう昇るのか、まだギリスも誰も知らなかったのだな、と読みました。レイラスの目指す未来は氏族に平穏をもたらす一方、レイラスの父の治世下で治療者が民に与えられていくように、一族の英雄がこれまでとは異なる立場となってゆく。その大きな流れまで、この会話の奥に見えたようでした。
これからも物語を楽しみにしております!

コメントありがとうございます。

すごくしっかりお読みいただいていて感激すると同時に、読者様からのご感想は作者にとっては作品の観測データのようなものだなと思いました。

28話は少々苦労して書いた一話だったので、自分の伝えたいものがちゃんと伝わるように書けているのかな〜という不安があったのですが、しっかり読み取っていただけていてホッとしました。それも作者には、読者様からご感想で教えていただいて分かることなので、そういう意味でも気軽にいろいろ書いて送っていただけると、とても嬉しいです。

コメントにも書いていただいている通り、エル・ギリスは魔法戦士で、戦闘に参加するために王宮で育てられた少年です。既に従軍した経験があり、尊敬する兄達もみんな魔法戦士でした。

それが世界の全てという人物なので、ギリスがスィグルの相棒として即位や治世を支えようとなったときに必ず衝突するのが、スィグルはなるべく戦闘を回避しようという性格だという点です。殿下はなるべく戦いたくないと思っていて、戦うのが怖い人なのです。

それじゃあ族長なんか務まらないよというのがギリスの感覚なんですが。

でも、「王宮の孤児たち」の頃には四部族は停戦状態で誰も戦っていないので、実は英雄たちは失業状態と言えます。

スィグルはどうせお父さんと同じ方法では皆をまとめては行けないので、何か別の自分なりのスタイルを考えないといけないです。

それをギリスにも分かってもらいたいとスィグルは思っているわけなのですが、話し方がド直球でした。私なら、こういう微妙なことは、もうちょっと様子を見ながら追い追い伝えてもいいなと思うんですが、これは物語なので、レイラス殿下はギリスにいきなりバンバンぶつけてきます。

でも現実であっても、こういうことは最初にハッキリ言うほうがいいのかもしれないですね。後になってから「そんなの聞いてない」ってなるよりは、最初にガッツーン! て言っておくほうが、面倒がないのかもしれないです。いや、どうでしょうか。

それでもギリスはスィグル・レイラス殿下を自分の新星として盛り立てていってくれるのでしょうか。

これはそういうお話なので、ギリスがスィグルの射手であることはもう決まってるのですけど、それに至るまでのエル・ギリスの心情などを丁寧に描いていけたらと思います。