「王宮の孤児たち」web拍手お返事

王宮の孤児たち」第24話 二対の翼 を昨日公開しました。

この作品、長いもので、カクヨムさんでの文字数計上では、24話までで10万字を超えました。文庫本一冊分ぐらいでしょうか。

いつものことながら、私の長い作品にお付き合いくださり、ありがとうございます。皆様からのPV(閲覧数)はもちろんですが、web拍手やいいね♡にいつも励まされています。

最新部分はぷらいべったーさんで公開していますので、書きながら連載の伴走をしてくださる方は、ぷらいべったー版をお読みください。アーカイブ利用はカクヨムまたはpixivで。

記事の続きは感想コメントへのお返事です。今回24話ではコメントをたくさん頂けたので、お返事を何回かに分ける予定です。いただいた順にお返事書かせていただきます。

01/21 16:39 あいかわらずギリスがじわじわ可笑しいです。「ジェレフの話はもっともだった。次はそうしよう」とか。以前に「ギリスはAIのようだ」と感想を書いたものですが、そのAIをプログラムしたのはイェズラムですね。まだ育ってる途中なので応答に人間らしさが足りない感じが、それはそれで、いじらしいです。そして、スィグルの部屋が、ただ王族が子供時代を過ごすための部屋というだけでなく名実ともに『子供部屋』であるということに、胸を衝かれました。ヤンファールのときには、まだ天井の飾りやおもちゃを喜ぶ子供だったんだなと、あらためて突きつけられて。ギリスがはじめて子供部屋というものを見て衝撃を受けてたのも切ないです。ギリスは、子供時代を持てなかった大きな子供ですね。

コメントありがとうございます。ギリスが「未熟なAIみたい」というお話、第17話 狂人たち にいただいたものでした。ご感想とお返事はこちらの記事にあります

続きも読んでいただけて嬉しいです。

ギリスみたいな変わった人物を視点キャラクターにして書くのは私にはちょっと難しいのですが、架空の人であるギリスと自分も対話しながら書いているような感じです。

ギリスはちょっと変わってるけど、割と素直で、人の話も(聞くときは)聞いてるという感じで、教えられたことを疑いなく実践してるんだろうなという印象です。だから育て方を間違えると、とんでもない人にもなってしまいそうですね。

「王宮の孤児たち」の登場する16歳のころまでのギリスは、兄《デン》だったイェズラムの言葉に盲従する子で、なんでそこまで……という印象が読者様にもおありかと思いますが、そのように書いています。自分では判断できない子で、確かにAIみたい。自立してないという意味では彼もまだ子供なんだろうなと作者は思っています。

自分で自分の一生を決められるのが大人じゃないか? と思うので、ギリスも今、自分の進路を決めようとしている場面にいるのです。物語では「スィグル・レイラスは新星か?」という話として、それを描くことになります。

ギリスは24話の終わりまでに、新星スィグル・レイラスを支えていく決心がついたんでしょうかね? 「新星とは何かわからなくなった」って24話の地の文で言ってるんで、まだ分からないんだ!? と先が長そうな感じです。これは、長編になりそうですね(^_^;)

一方でスィグルのほうも、まだまだ子供っぽいところがあって可愛い殿下です。

ご感想にも書いていただいたように、王族の子供部屋の描写が今回出てきました。寝室におもちゃの月と星の船が飾ってありました。作者の中ではこれが、スィグルが学院編第一幕の終わりでイルスに語っていた月と星の船の元ネタなんだと思っています。

寝る時に毎日見ていたおもちゃだったんだなーというのが、彼が本当に子供のままでトルレッキオに行って、そこで天使とか友達とかに出会ってしまったんだというのを物語ってるなと。いや私が作者として物語らせないといけないんですが、あんまりクドクド書くのも不恰好なので、ギリスの視界に一瞬登場した船のおもちゃに読者様が気づいてくれると嬉しいなと思って書きました。(ここで全部説明したら意味ないんですがw)

でもギリスは学院でのスィグルの話は知らないので、自分の視点から王族の子供部屋の光景を感じ取ってましたが、こういう「それぞれの立場がある」っていう書き方は拙作の特徴で、小説で使える表現の面白みでもあります。いろんな視点から書くことで、物語が読者様の中で立体的になるというのか? そういうのを楽しんでもらえる作品にできるといいなと思っています。

読者様は、ご感想にもあるように、ギリスが自分の子供時代がなかったことに衝撃を受けたんだ、とお分かりになるんですが、ギリスはわかっていません。ギリスは「えぇ〜、俺の部屋と全然ちがうΣ(゚д゚lll)」とショックを受けたものの「えーと……それが? なんだっけ……( ゚д゚)?」ぐらいの感受性だと思います。

ヤンファールでの自分の英雄譚を語るギリスの話を聞いて、スィグルは彼が怖かっただろうし酷いんじゃないかって思ったみたいですけど、ギリスは自分ではわかってない。でも読者さんもわかる、というのが、ギリスの物語の面白い構造です。主人公もわかってない自分の気持ちを、読者様がわかってくださるんですね。

そういう共感を、スィグルもギリスにしてあげられるんでしょうか。殿下もまだ14歳ですからねえ。わかってやれよっていうのは厳しいんですが。今後どうなっていくのか、作者も楽しみにしつつ書いていきます。